救急医療の現状で問われる命の価値
医療の現場は常に死と隣り合わせである。特に、それが顕著なのが救急医療である。救急の医療では、どのような状態の患者がいつ搬送されてくるかわからない。そのような中で緊急の体制を24時間整備することは非常に難しい。実際に現場ではさまざまな問題が起こっている。
主な問題点としては二つ存在する。一つ目は救急医療の体制を整備している病院の数が少ない点である。例えば、心筋梗塞を発症し心臓が停止した場合、心停止をしてから遅くても1時間以内に医療的な措置をしなくては十中八九死に至る。しかし、救急を呼んでから搬送を開始してからも受け入れ先の病院が見つからないことが多々ある。これは、地方と都会で程度の差があるとしても、受け入れ先の不足の問題は存在する。そのため、本来救命できる命であっても助けることができない事態が生じる。
また、二つ目の問題としては、専門的な措置を受けることができない点である。救急医療は、若手の医師などの技術習得の場としても機能している。また、脳外科などを専門としている医師事態が存在しない場合も多い。ゆえに、脳梗塞などで搬送されたとしても、実際に病院にたどり着いてもオペができる医師が存在しないというような事態が起こり得る。このような事態を避けるためにも、各科で持ち回り制で救急担当の医師を決めて実際に患者が搬送されてきた場合に処置ができる体制を整える必要が極めて高い。そのためにも病院のみならず国の政策として医師及び医療体制の完備が課題となっている。